激化する勝ち残り競争
銀行同士が競争をするなんて、かつての金融マンたちは想像もしていなかっただろう。独自で収益をあげるということは、他銀行よりも抜きん出なくてはいけないということ。その荒波に、島根銀行も揉まれることになる。しかし規模の大きな銀行のサービスの質やスピードに、地方の小さな銀行は遅れをとった。経営基盤を磐石にするために東証一部上場も果たしたが、この競争の渦のなかで現場の行員たちは、大きな疑問を抱くことになる。「島根銀行の良さって何だ」。かつて地域のために、Face to Faceでお客様に寄り添っていた行員たちが、自分たちの仕事に自信を失っていた。そうして、島根銀行は地方銀行で唯一、コア業務純益(銀行本来の業務の収益)で赤字を出すことになる。